椅子
小さい時から茶而が使っていた椅子が最近戸利くんが使うようになってきて、僕らが使ってる定番の椅子に正座して朝食を摂るようになってたのでかわいそうだったので、そのうち茶而用の椅子を作ってあげなきゃなと思ってやっと今日作くれた。
もともと細かい作業は得意じゃないのでざっくりおおらかなモノづくりを中心にしてきたけど、最近いろんな仕事をする中で少しづつ細かなこともできるようになりきっちりとしたものもちょっとは作れるようになってきました。
何かを作るときにできることが少ないころは「これしかできません」と開き直るしかなかったけど、できなかったことができるようになってくると不思議とできるようになったことを優先的に考えるようになってきてた。
もちろん悪いことじゃないし、よりスキルを上げるためには難易度の高い仕事に挑むことは本当に大切でそれを仕事の喜びとして捉え、制作活動をしていくことは当たり前のことなんだけど、そのことと僕の世界観にはギャップがあるようにこのところ感じてきてた。
制作は僕の好きなものを作る事。
職人技や精度の高い仕事は僕にとって何の価値もない。
できないことをできないままにするのは良くないけど、できるけど選択しない事が大切。
今日作った椅子はそんな忘れていた大切なことを思い出させてくれた。
高さだけを決めて、材料は端材で。
イメージをラフデッサンするような、お酒を片手におつまみを作るような。
自分と会話をしながら、素材と向き合いながら、茶而の喜ぶ顔を思い浮かべて。
すごく楽しかった。
やっぱりざっくりおおらかなものもいいな。
縁側のある家と暮らし
9月中旬に取材を受けていた本が発刊されます。
取材の打診があった時はあまり深く考えず、縁側周辺の撮影だけかな?と思っていたのですが、いざ始まると家の中全体だったのでビックリしました。
そこそこお部屋が散らかっており取材対応モードなっていなかったので、僕らのページはいつも通りの我が家です。それが返って僕ららしくていいかな?と思えています。
取材時のみならず、それ以降も何度もメールや電話でやり取りをしながら、自分たちにとって「暮らし」や「生活」は何なのか、はたまたなぜそのような考えになっていったのか、5年を迎えたsosoやこれまでのあれこれを回想する機会になり、個人的には自分の人生を幼少期から現在まで遡り、時間を超えた一人旅をした不思議な心地でした。
本の中は、sosoでの暮らしを中心にあれこれ書いていただいています。
ぜひご購読お願いします。
木全俊吾
表札オーダーについて
表札について
嬉しいことに、このところ表札のオーダー制作のお問い合わせをよくいただきます。
先日も東京方面オーダーがまとまったので旅行がてら個別に待ち合わせをしに、サンプルや商品を大きなカバンに入るだけ入れて行ってきました。
というのも、メールのみでのオーダーはお断りしておりして、直接お会いして打ち合わせをしてからのオーダー制作としているからです。
日々、悩み、もがき足掻きながら僕自身がワクワクするようなものを制作しています。
もちろん妻や子供達、友達やお客さんに喜んでもらうのも大事なんですが、工房で制作している時、完成した時、思わずニヤニヤしたり一人で「やるねー」と自分を褒めたりしてしまうことがあります。
そんな時間がとびっきり至福なのです。
そしてその気持ちや思いを僕以外の方とも共有したいと思うので商品として販売もしています。
今の仕事をしているのはこのことが大きいように最近では思います。
なので表札に限らず、個人的に気持ちが乗ってこないものはオーダーがあってもお受けしなことがあります。
僕が作るものは1つ1つ形が違います。
それも明らかに。
それは意図しているものでもあり、意図せずそうなってるものもあります。
皆がそれぞれが違うように、またその中の1人の「人」の中にも一瞬一瞬の気持ちの揺らぎが絶え間無くあるように、切り取られた一瞬ではなくその全体で僕自身の表現になっていけばと願っていますし、そうなるように日々努力し、制作をしています。
話が少し外れましたが、表札にも同じことが言えます。
例えば僕の名字の「木全」を希望のサイズ、フォントになるようにパソコンで調整してからプリントアウトをして習字のお手本を下に置き、上からなぞるようなやり方で制作することは可能です。
そのやり方は僕じゃなくても出来ることだし、何よりワクワクしません。
苗字は選べません。また使われている漢字によっては選べないデザインもあります。
打ち合わせの時にお家作りのことや、普段のこと、表札に関係有る事無い事いろんなお話を聞かせてもらいます。
それは意味のないものももちろんありますが、僕にとったら表札を作るための大切な情報源となっています。
ご依頼主のこと、ご希望の形、苗字のフォルムとしての形状、素材の持ち味、お家のデザイン、環境、などなどたくさんの要因を持ってベストの選択をしていくことはとてもエキサイティングです。そう、ワクワクします。
これはご依頼主と僕のセッションなんだと思うのです。
よりよくセッションするには相手のことを少しでも理解するために直接お会いして例え数分でもお話することが不可欠なのです。
先日行った東京の話です。
一番待たれた方でお問い合わせメールから半年、2日間で合計4件の打ち合わせでした。
東京方面の方でも今回は予定が合わず、次回があればまた連絡を差し上げるお話になってる方もいらっしゃいます。
もともと一人で旅行するのが好きで独身時代は海外にも一人で旅行に行っていましたが、結婚、子供が生まれてからはそんなこともなくなりました。
表札の打ち合わせという大義名分もあり、久しぶりに15年前から海外旅行をしていた時に使っていたバックパック用の大きなカバンと共に昔に戻ったような気分で一人旅ができました。
土地勘もないので待ち合わせの駅やお店は全てお任せして、僕はカバンに少しの着替えと表札のサンプルと定番の商品をたくさん詰め込んで、時に公園で、時に狭いお店に気を使いながら商品やサンプルを見てもらいました。
自分で考えて行なったことですが、自分で作ったものを持ち歩いて販売する行商のようでとても楽しくそしてなんだか可笑しかったです。この体験や感情はきっと回り回って制作にも反映されていくんだろうなーと未来の自分に期待しています。
メールでのオーダーを受けないのは不便で非効率です。
現に僕自身も新幹線代を払い旅行を兼ねてと思いつつ、個人的に行きたかったところはたくさんありましたが1つしか行けず、多くの時間が打ち合わせに費やされました。
けれども不思議と充実した有意義な時間でだったのです。
きっとこの気持ちはお会いした方々のプランを考える時や制作時、発送時に思い出されその都度充実した気持ちにさせてくれると思います。
僕の仕事は生活をしていくためのものではありますが、それよりも自分の人生を楽しむためのものだと考えています。
こんな考えでやっていると大変な事は山ほどあります。というか大変なことしかありません。
それでもその合間合間に一瞬にやってくる驚くような嬉しい出来事が本当にたまらないのです。
こんな考え方で表札のオーダーを承っております。
僕を発見してくださるタイミングも設計中だったり建設中だったり、完成後だったり全く家を建てる予定のない段階だったりと様々だと思います。
遠方の方になればなるほどそのことが負担になったり、難しいことだとは重々承知しています。
また僕の考えに納得できない方もいらっしゃることでしょう。
このやり方が正しいかどうかは正直わかりません。ただこんな悪条件にも関わらずそれでも僕にとおっしゃってくださる方には全身全霊で制作したいと心を動かされます。
お問い合わせはお気軽にしてくださって大丈夫です。
可能な限りお応えします。
今回は東京に行きましたが、個人的には北海道でも沖縄でも離島でも海外でもまとまった数の依頼やタイミングがあれば行きたいと思っています。場合によっては一件のお問い合わせメールによって行きたくなってしまうかもしれません。またいつどこでお声が掛かるかわかりませんが、展示を行いにどこかの街にいくかもしれません。
その全ては目には見えない未来の縁のものだと思います。
もし"いつの日か"なんて気長にお待ちいただける方はその旨をお伝えいただければ僕の中にいつか行きたい街としてしっかりと候補に入れさせてもらいますので遠慮なくメールをお送りください。
長々と書いてしましましたが楽しく作り、それを他の方と共有して喜んでいければ本当に幸せだなーと思ってます。
そんな方と1人でも多くお会いしたいと願っておりおます。
soso
木と森
木全俊吾
今までの制作例